スローライフを生きる~入社2年目でうつ病になったHSPの話~

内向的でHSPの気質を持った20代OLのブログ。今は人生の立て直し中。

【アンチ就活ビジネス】就活の面接、綺麗な回答を求めすぎじゃない?問題

 早いもので、大学生が就活に動き出す時期ですね。 

 私は就職活動が嫌いです。エントリシート1つ書くのも大変だったし、なかなかコツがつかめずお祈りされました。正直もう二度とやりたくない。

 そこで何が困ったかって面接ですよ。

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 自分の経験で何が仕事に活かせるのかわからない。一生懸命自己分析と会社分析をして自分なりに考えて挑んだのに、「自分の言葉で話して」と言われたこともあります。

どんな話なら面接官が満足するのか、さっぱりわかりませんでした。

 

 結局のところ、ほんの十数分の面接で人となりとがわかるわけないし、聞こえが良くなるテクニックが全てでは?という疑問がずっとありました。

 

 

「やりたいことを仕事に」という呪縛

 

 新卒の就活面接では、高い志とか、今までやってきたことで仕事に活かせることとか、とにかく聞こえの良い答えを求められてる気がします。

 でも、本当にそこまで自分をわかっている人って、そういなくないですか?私は実際に働いてみないと何が仕事に活きたかわからなかったし、具体的な目標も出来なかったです。

 だから、無理して「面接で話せるやりたいこと」を考えなくてはいけませんでした。私は表面上を取り繕うのが苦手なので、かなり本気で悩みました。

 面接で落とされ、やりたいことを考え、を繰り返しているといつの間にか「やりたいこと見つけなくては」という呪縛に囚われてしまいます。

 

 単純な私は、このときの「やりたいことを仕事にしてバリバリ働いて、この大規模事業を通してより良い社会を作っていくぞ!」という大それた意気込みを持ち続けてしまいました。今考えると、これが私のやるべきことだと、ずっと自分を洗脳していたんだと思います。

 まぁ、これは私の性格によるところが大きくて、普通の人はもっと器用に立ち回れてるのかもしれません。面接で落とされ続けると、本当に「自分は社会にとって必要のない人間なんだ」って思ってしまうんですよ。その結果、「働くためには、企業が求める人にならなくちゃ」って思って、理想の社会人像の仮面を被って採用されて、取り繕った偽物の自分で働くようになってしまうわけです。

うつ病の原因だってここにあったよチクショー

 

新卒の「就活ビジネス」は美味しいからクソ

 

 一度就職活動を経験して、私はアンチ「就活ビジネス」になりました。

 就活の面接指南本は何の参考にもならなかったし、大学にいた就職支援アドバイザーの人はダメ出しだけで、どう直せばいいかは何のアドバイスもくれなくて辛くなったし、御存知の通りリクナビエントリー煽り内定辞退率予測の販売等問題ばっかり。1番参考になったのは友達のアドバイスでした。

こんなにひどい有様なのに、なんで就活エージェントや就活本が世に溢れているのか。一通りの就職活動を終え、私は悟ったのです。

 

  •  新卒就活はリピーターを獲得する必要がないので、クソだと気づかれても問題ない。
  • 毎年一定数の客がいるので、市場が安定している。

 つまり、どれだけサービスがお粗末でも、次の代がまたお客として市場に入ってくるので、改善する必要がない。

 彼らにとって、「就活ビジネス」は就活生の不安を煽って搾取できちゃう美味しい事業なわけです。

 

構造の闇を見た気がした

 私の「就活ビジネス」アンチを加速させたエピソードがこちら。

 1度転職を志したとき、エージェントが開くセミナーに参加したんです。(転職系なら違うかと期待していた)内容は職務経歴書と面接での自己アピール力アップを目指したもの。数々の人材紹介会社を経験したベテラン講師をお迎えしてみっちり授業。ミスマッチしない会社選びのコツや、人事担当が見るポイント等、「ふんふん、なるほど」と聞いていました。

 この講師の経歴を見たところ、年間100本以上、企業に対して「面接官の研修講師」を務めている。ああ凄い業界通の人なんだなぁと思ったところで「……ん?」となりました。

 

  この講師は、企業の面接官に対して見るべき要点を教えている。

 転職活動をする私たちにもアピールポイントを教えている。

 ということは、この人が考えた「使える人材像」を私達は表現し、企業は求める構造になっている。

 あれ…?この人の手の上で踊らされてない…?と。

 

 もちろんこの講師はベテランですし、数々の経験に裏打ちされた理屈があるのかもしれません。就活について私は全くの初心者ですから、彼の言うことが正しいか間違っているかはわかりません。

 

 多様性って何なんでしょうね。内容は違っても、アピール方法は同じ。「何をして何を得たのか」自己PRして、「何を活かせるのか」志望理由を話し、「何をやりたいのか」「将来どうなりたいのか」のビジョンを語る。

 SEなど、技術職でスキルがはっきりしている人はともかく、「営業」や「購買」のスキルって何ですか。「売上を上げるために工夫した実行力」とか「コスト削減のために関係各所と協力した人を巻き込む力」とか、そんなもん全て話す側のものさしじゃないですか。どうやってそれが普通の人よりも優れているものだとわかるんですか。

 企業も実際には確かめようがないから、それっぽいエピソードで納得するしか無いじゃないですか。

 茶番にもほどがありませんか。

 

ミスマッチは「避けられないもの」として受け入れよう

 経験がなく、スキルに明確な指標もない。会社に貢献し続けてくれる、優れた人材が一気に手に入るわけないなんて、企業も重々承知しているでしょう。なのにこんなに時間とお金と手間をかけて、採用活動に勤しんでしまう。

www.invision-inc.jp

 新卒1人あたりにかかる採用単価は55万前後らしいです。ちなみに、コストの半分が求人サイトの広告費だそうですね。Sasanoの怒りのボルテージが上がっていく。

 

 どうしてこんなことを続けてしまうのか?って考えると、やっぱり、「採用にかけたコストを、良い人材を手に入れることで回収したい」=リスクを最小限にしたいってことだと思うんですよ。

 ところが世の中は変化し、天下のトヨタ様ですら「終身雇用はもうキツい」と言い始めた時代。会社が従業員を守ってくれる時代は終わりました。 そして、従業員が1つの会社に留まり続ける時代も終わりました。

 

どこでも誰とでも働ける――12の会社で学んだ“これから"の仕事と転職のルール
 

  12の有名企業で働いた尾原さんの著書で、印象に残った言葉があります。それは、これからの仕事の原則は、失敗を前提とした「DCPA」を繰り返し、試行回数を増やすというもの。

 

これだけ変化が激しい時代になると、時間をかけてあれこれ調べ、詳細な検討を加えて緻密なプランを作っているあいだに、当初の状況が変わってしまうリスクがあります。

(引用:尾原和啓『どこでも誰とでも働ける―12の会社で学んだ"これから"の仕事と転職のルール』ダイヤモンド社,2018年,40頁)

 失敗してもいいという割り切りが、DCPAサイクルを上手く回すコツです。

わずか1、2回しかチャレンジできなければ、失敗できないというプレッシャーが大きすぎて、慎重にならざるを得ません。準備にも時間がかかるし、それだけ苦労して、いざ実行してもうまくいかなかったら、その影響は甚大です。(中略)実行する回数が多ければ、失敗しても大事には至らないのです。

(引用:尾原和啓『どこでも誰とでも働ける―12の会社で学んだ"これから"の仕事と転職のルール』ダイヤモンド社,2018年,41頁)

 

  変化が激しく予想外なことが起きるこのご時世、「リスクを最小限に」はもう無理だっていろんな所で言われてますよね。「リスクを避けるのではなく、トラブルが起きたときの対処を準備しておく」っていう方が、よっぽど建設的です。

 つまり企業も人材とのミスマッチが起こる前提で、辞める人も出るし使えない人材も入ってきちゃうのを見越して動いたらいいじゃない、と思ってしまうんです。そんなに採用活動にコストを掛けるくらいなら、損失コストの方を受け入れたら良いじゃない、と。

 

面接以外の採用手段、何がある?

 さて、仮に採用活動として面接を控えた場合、どんな手段があるか考えてみました。

 

①AIによる適正採用 

 誰もが1度は思いつくのがコレですよね。アニメ『PSYCHO-PASS』のシビュラシステムみたいに、AIに職業適性を分析してもらって、診断されたものの中から選ぶシステム。今ある就活用の自己分析ツールって、仕事を意識して身構えたり、迷いがあると結果がブレてしまって、正確じゃないんですよね。もっと幼い頃から日常的に行動パターンを記録されていたら、ある程度的確な診断が出たりするんじゃないかな~という期待。

 ただ、AIの判断で本人の自由意志が無くなってしまっては本末転倒なので、「適正がなくても目指したい人は別の入り口で」と何通りか採用ルートがあれば良いんじゃないかと思います。

 

 ②学生向け職業訓練校からの即戦力採用

 ちょっと前に、旧帝大・慶応大以外の大学の文系学部を職業訓練学校にせよ」なんて過激な案が出てましたね。

diamond.jp

  これはやりすぎですが、塾のような立ち位置で「職業訓練校」を用意するのは良い気がします。ここで学生は実戦経験を積み、アメリカみたいな即戦力採用が出来たらなかなか魅力的ではないでしょうか。

 私は学生時代「どうせ卒業したら働き続けなきゃいけないのにインターンなんて…」と嫌がっていましたが、それは卒業したら即就職というスケジュールが決まっていたからで、海外のように卒業後でも、もっと自分で時間の使い方を決められる自由があれば違ったのかなー…なんて。

 

 俗物だって良いじゃない、人間だもの

 働くことの目的って、1番は「生活のため」じゃないですか。私は次に自己実現を求めていましたが、今は「自分に合った仕事と、働き方ができること」を求めています。

 通勤したくない。物理的に1人でいたい。自分のペースでコツコツやりたい。プライベートとお金どっちも欲しい。ワガママに生きると決めたので。


headlines.yahoo.co.jp

 超大御所声優、大塚明夫さんがこんなことを言ってるんですよ。

 声優を目指す若者は「ちやほやされたい」が目的だっていい。大切なのは、その欲求から目を背けないこと。優先順位を正しく理解しておくこと、と。

 

 就活ではあまりにも聞こえの良い回答を求められているために、自分本位の欲求は良くないと植え付けられている気がします。

 私達は働くために生きてるんじゃありません。自分の人生を生きてます。俗っぽい欲求は持ってて良い、むしろ悟りでも開かない限り捨てることは無理なんだから、受け入れたほうが楽になれると思うんです。

 

  自分の心に正直に。ありのままに生きる。この言葉の意味は、「ワガママで子供っぽくて俗物な自分を受け入れよう」ってことかなって、今は思ってます。