【自己愛】永田カビさんの作品と見ていく、パーソナリティ障害③失調型
前回の続き。第3回目は、「失調型パーソナリティ障害」について見ていきます。
失調型パーソナリティ障害とは
内向的で、直感や創意に富んでいる。常識にとらわれず、独特なものの見方をすることが多い。頭の中で常に何か考えていて、発想が豊か。孤立すると、迫害妄想や被害妄想を抱きやすく、悪い方に考えを膨らませてしまう。プレッシャーに弱く、協調性に欠ける。日常的な雑務や現実的な問題解決が苦手。
研究者や学者、哲学者、文学や絵画などの芸術系の仕事で成功している人も多い。環境に恵まれないと、引きこもりになりがち。
このタイプの人は、人生で一度か二度、精神病を発病する危機がある。数年~十年のうつトンネルに入ることもある。その危機を上手く乗り越えると、すっと人生が開けてくることが多い。
永田さんの描写
①頭の中で常に何かを考えている
(引用画像:永田カビ『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』イースト・プレス,2016年,13頁)
永田さんの作品は自己分析の繰り返しで、幸せの捉え方や人間関係の仕組みなどを、独自の理解で描写しています。
その中には納得するものあったり、疑問を感じたりするものもあったりと様々だったのですが、とにかく精神的なものを突き詰めて考えることに才のある人なのだなぁと感じました。
②芸術的な才能
(引用画像:永田カビ『一人交換日記 (ビッグコミックススペシャル)』小学館,2016年,138頁)
幸せを甘い蜜に例えたり、他人から与えられた肯定を花束に例えたり、詩的な捉え方を絵で表現することにも長けていると思います。①と一緒で、やっぱり物事を独特に捉えているんですよね。それが共感できるものであれ、できないものであれ、「この人から世界はこう見えているんだ」と理解することはできる。自己開示・表現力の芸術的な才能があるのでしょうね。
③悪い方に考えを巡らせがち
(引用画像:永田カビ『一人交換日記 (ビッグコミックススペシャル)』小学館,2016年,126頁)
実際フリーターでいることの後ろめたさがあったのでしょうが、歪んだ思考で悪い方向に考えがちな描写も多いです。この点は私も非常に心当たりがある。自分に自信がないと、常に悪い評価をされていると思い込んでしまうことが多く、勝手に被害妄想をつのらせてしまうんですよね…。
「被害者意識が強い」「繊細ヤクザ」という言葉を目にすると、思い当たるフシがあってうぐぅ…となります(;_;)
④精神病を発病しやすい
(引用画像:永田カビ『一人交換日記2 (ビッグコミックススペシャル)』小学館,2018年,105頁)
はい。これもうはい。今までも散々描写されて来ましたが、「一人交換日記2」では精神病棟に入院されていました。永田さんは、既にうつ病を発症されて十年以上経っています。いつかこのうつトンネルを抜けられるといいなぁと思います。
どうやって克服する?
・日常的なことも疎かにせずやる努力をする。
・現実世界に意識を向けられるよう、動物や植物の世話、スポーツなどの趣味を持つ。
・苦しみを芸術的なものに昇華する。
★現実を生きることで、アイデアや発想が磨かれ、本当の価値のあるものになる!
永田さんは既にエッセイという形で芸術に昇華はできているので、精神的なものにばかり目を向けず、現実世界・実生活を見る意識を持てば生き辛さを和らげることができるのではと思います。
私ももうすぐ社会復帰して、現実に戻らざるを得なくなるので、日常も疎かにしない意識を持っていきたいと思いました。