スローライフを生きる~入社2年目でうつ病になったHSPの話~

内向的でHSPの気質を持った20代OLのブログ。今は人生の立て直し中。

【自己愛】永田カビさんの作品と見ていく、パーソナリティ障害④依存型

 最後に、「依存型パーソナリティ障害」について見ていきましょう。

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依存性パーソナリティ障害とは

 主体性がなく、自分で決めることが苦手。些細な決定も親やパートナー・友人に頼る。自分の本心が自分でもわからなくなっていることが多い。自分に自信がなく、周囲の評価に振り回されてしまう。褒められたことよりも、貶されたことばかりを覚えていて自分は劣っているという思い込みが強い。

 孤独がたまらなく苦手。いつも誰かといないと不安になったり、空虚を感じる。恋人と別れるとすぐに新しい相手をつくりがち。「優しくしてくれる人なら誰でもいい」という考え。

 主に二つのタイプに分けられる。

 ・「赤ん坊型」…受動的な依存。親やパートナーに日常生活を頼りきり。

 ・「献身型」…能動的な依存。主体的に生きることが難しく、導いてくれる人を求めようとする。

        DVやダメ彼氏と別れられない、カルト宗教にハマる人がこのタイプ。

 

永田さんの描写

①自分の本心がわからない

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(引用画像:永田カビ『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』イースト・プレス,2016年,56頁)

 永田さんは、今までから現在も、ずっと「親に褒められたい」という気持ちがあります。これは第2回で説明した境界性の影響だと思うのですが、その結果、自分で自分の希望を抑制する癖がつき、自分の気持がわからなくなっていました。

 大学を中退したこと、うつ病を発症してろくに働けなかったこと、フリーターであることなどの後ろめたさもあって、どんどん自分に自信がなくなり、人の評価ばかりを気にするようになったのだと思います。例えそれが被害妄想であったとしても。

 

②周囲の評価に振り回される

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(引用画像:永田カビ『一人交換日記 (ビッグコミックススペシャル)』小学館,2016年,128頁)

「いくら頑張っても、誰かにその頑張りを認めてもらわないと意味がない」と思っていたという一文があり、他人に認めてもらえないと自分を認められない心理状態にあるのだと思います。他人の生活環境や能力に嫉妬する描写が多いのも、今の自分がどの段階にあるのかわからず、自分で自分を褒めてあげることができないからでしょうね。

 

③孤独がたまらなく苦手

 これも境界性で描いた通り、永田さんの本には必ず「寂しくて寂しくてたまらない」と苦しんでいる描写があります。実家にいても寂しいと飛び出すように一人暮らしを始めたのに、結局一人でいる寂しさに耐えきれず帰ってきてしまいました。

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(引用画像:永田カビ『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』イースト・プレス,2016年,49頁)

「誰でもいいから抱きしめられたい」。風俗へ足を運んだ理由も、人肌が恋しいというのが大きな理由だったように思えます。

 

④「赤ん坊型」依存

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(引用画像:永田カビ『一人交換日記2 (ビッグコミックススペシャル)』小学館,2018年,112頁)

 永田さんは精神病棟に入院した際、家族と離れている寂しさに耐えきれず自傷をしてしまいました。第一回目の入院のときは病院関係者に伝えず勝手に帰ってしまいましたし、どうしても「困ったら親に何とかしてもらいたい」という依存から抜け出せていないように思えます。

 精神病棟への入院の理由は飲酒のしすぎによるおねしょが頻繁に続いたことで、これはアルコール性急性膵炎で救急車で運ばれるまで続きました。

現実逃避してたらボロボロになった話

現実逃避してたらボロボロになった話

  • 作者:永田 カビ
  • 発売日: 2019/11/07
  • メディア: コミック
 

  結局実家に戻ってしまいご両親の世話になっている状態で、どうしても日常生活をご両親に頼り切りになっているように思います。

 

どうやって克服する?

 日頃から、自分の気持ちを口に出す習慣をつける。言葉にして伝える努力をする。

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(引用画像:永田カビ『一人交換日記2 (ビッグコミックススペシャル)』小学館,2018年,122頁)

 入院中の自傷行為のあと、永田さんは「言葉にして伝えなければいけなかった」と反省し、口に出すよう意識して取り組んでいました。

 依存型の人は①の特徴にあるように、自分の本心がわからないから言語化することが苦手なのだと思います。気持ちを言語化するには、インプットも欠かせません。同じような症状の方の体験談や本を読んで、「自分はこんな風に感じているのかも知れない」という気づきをたくさん得ることで、使える言葉を増やしていくのが良いと思います。

 

私も以前「自分でも自分のことはなかなかわからない」と書きました。やっぱりそこには社会常識だったり、植え付けられてきた「幸せの定義」だったり、大人であらねばという義務感が蓋をしているのだと思います。

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本心を知るには、子供の心に戻るのが1番だと思います。一人で言葉にするだけなら誰にも迷惑をかけない。ワガママで、幼くて、甘ったれの自分を認めれば、見えてくるものがたくさんあると実感しました。