スローライフを生きる~入社2年目でうつ病になったHSPの話~

内向的でHSPの気質を持った20代OLのブログ。今は人生の立て直し中。

【君の膵臓をたべたい】この作品が、「あの結末」でなければいけなかった理由

 タイトルは聞いたことがあると思う話題作。

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

 

  今更ですが、私最近初めて読んだんですよ。軽快に交わされる会話のテンポが良くて、あっという間に読み切っちゃいました。

 この作品は基本的に高評価なんですが、Amazonのレビューだったり、感想サイトで否定的な意見も散見されます。その批判のほとんどが、結末についてだったんですね。

それで、ああこれは私なりの解釈を書きたいな、と思いまして。

 ※ここから先、紹介ブログ、動画先のネタバレ要注意!

 

 

 

 結末に対する疑問の声

ko-tachannel.hatenablog.com

 

 

ラストは「あるべくして」描かれたもの

 

 彼女の死は、病気ではない、別の理由によって訪れます。
 私も初めて読んだときは「えっ?」てなりましたし、置いてけぼりにされた気がしましたよ。何で?って。

でも、このラストこそが、この物語で伝え続けたメッセージの集大成なんです。

 彼女は何度も、「自分は病気だけど、いつ死ぬかわからないのはみんな一緒。誰にだって死は訪れる」と言っているんです。

 それがこの作品の主題なんです。
 ヒロインは病気であるけれど、この作品は極力その病気を特別扱いしていない。彼女はずっと明るくて、弱音を吐くシーンは殆どありません。主人公の前という意味でなく、読者にも見せないんです。
 メソメソしない。不謹慎な冗談を言いまくる。好きなものを食べたいだけ食べて、遊びまくる。残りの人生を楽しく生きるんだと、努めて明るく振る舞う。

 これはある意味、病死を主題にした作品へのアンチテーゼです。
 残酷に迫ってくる死期の切なさ、それにより一層深まる2人の愛、君のことを忘れないと、恋人の死をもって強く生きる主人公…。そういった、所謂「王道」と化した物語のパターンに、作者は一石を投じてるんです。
 「悲しみ」を主軸とした感動ポルノが溢れ出した世の中に対し、捉え方は一つではないと訴えているんです。死は特別なことではないんだよ、と。


だから、彼女の「死」は、ドラマチックであってはいけない。
あまりにも呆気なく、一瞬で消え去るものではなくてはならない。

 彼女が死ぬ直接の原因に、意味はなくて良いんです。何でも良かったんです。大事なのは「どんな死に方をするか」ではなく、「誰でも死と隣合わせで生きている」という事実を描くことなんです。

 そういう意味で、この作品はブレない。主軸をどっしりと構え、導入から終わりまで完璧にまとまっている。

 

2人の関係は「恋愛」じゃない


 もう一つ私が感じたメッセージは、「男女の愛は必ずしも恋愛の形をしていない」ということです。
 主人公とヒロインはデートのようなことを何度もするし、旅行にも出かけちゃうし、何ならちょっといい雰囲気になったりする。
 でも、2人は恋愛関係とは違うと思います。
 主人公とヒロインは、互いに相手の生き方に憧れている。求め合い、惹かれ合っている。たしかにそこにあるのは愛です。尊敬する愛。相手を必要とする愛。どうしようもなく大切に思う愛。彼らの愛は、「恋愛感情」という型に当てはめることはできないんです。そういった名前のあるものよりも、もっと根源的な、胸のうちから湧き上がるような、形のない感情なんです。

 だから彼は、最後、ヒロインに「あの」メッセージを送ったんです。それが最も、互いの愛を表すのにふさわしい言葉だから。


タイトルの意味、それは「あなたの中で生き続けたい」なんです。

 

 

最後に

 

  もちろん、捉え方に正解なんてありません。ただ、下の動画を見て、作者さんの伝えたいメッセージがイマイチ届いて無いように感じてしまったんですよね。

vod-drama.com


青春恋愛映画に通り魔を悪魔合体したら事故った「君の膵臓をたべたい」アニメレビュー【VOICEROID解説】

 

 個人的に、「泣ける」って謳い文句が好きじゃなくて。その言葉だけで「悲しい展開なんだろうなぁ…」って想像できちゃうし、感動を押し付けられてるように感じてしまう。
 私みたいに思っている人にこそ、この作品を読んで欲しいと思います。

 

君の膵臓をたべたい Blu-ray 豪華版

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 実写映画では主人公が大人になっているオリジナル展開で始まり、「そんなに何年も放置してたのか!?」と突っ込みたくなるところもありましたが、全体としてとても良い出来に仕上がっています。オリジナル部分も、映画という形をスッキリまとめるのに必要な要素だったかと思います。
 学生時代の2人の子も、違和感がなくてとても良かったです。特にヒロインがめちゃくちゃ可愛い!こういうキャラクターで実写にするとあざとくなるかと思ったんですが、ぶりっ子とかじゃなく本当に「そういう性格の子なんだな」と感じられる素晴らしい演技でした。